「卓話の泉」は各クラブの会報、週報に掲載の卓話の中から、客観的
 内容の話題、ミニ知識となるものを主に選んで要約、掲載しています。
 
             
 

  経営者の肥満防止

広島産業保健推進センター
産業医学相談員

松山須美子

 日本肥満学会は、体格指数/BMI(Body Mass Index)が25以上を「肥満」と定めています。計算式は体重(キログラム)÷身長(メートル)の二乗です。肥満の原因は、(1)過食、アルコールや甘い飲料の飲みすぎ、(2)摂食パターン異常、(3)遺伝的に体内に脂肪を一定量まで蓄える能力が高い、(4)老化や運動不足による基礎代謝量(呼吸を静かにするだけに要するエネルギー)の低下などです。
 案外気づかないのがアルコールのカロリーで、ビール500ミリリットル、日本酒180ミリリットル、焼酎140ミリリットルはそれぞれ200カロリーあります。500ミリリットルの缶ビール2本を毎晩飲んでいた人が、350ミリリットル 缶1本にすると、体重が2か月で3キログラム減少したという話もあります。
 夕食はなるべく早めに、遅く帰宅した時はビール少々と蒸し物や煮物など、消化がよく脂肪の少ない献立に。残業が続く環境なら、19時ころに簡単な夕食タイムを取るような配慮を、管理監督者には望みたいものです。
 肥満がいけないのは、内臓脂肪からアディポサイトカインという生理活性物質が分泌されるため。糖尿病、高血圧、高脂血症を来たし、最終的に動脈硬化で血管をボロボロにしてしまう点です。短期間ダイエットならば、炭水化物を減らすことが効果的ですが、やはり炭水化物・タンパク質・脂肪をバランスよく取り、総摂取カロリーを落とすのが理想的です。「メタボリックシンドローム」対策は、「体重を落とすこと」ではなく「体脂肪を減らすこと」なのです。

 

 動脈硬化の要因の中では、運動不足、肥満や喫煙などが、個人の努力で改善可能です。2008年4月から実施されている、特定健康診断や特定保健指導は、病態が軽いうちに生活習慣改善を促すことにより、諸症状を改善させ、発症する血管病から国民を守ることをねらいとしています。
 労働者の健康診断の有所見率を見ると、血中脂質と血圧が年々上昇し、将来の血管病の増加を予測させます。個人の一層の自覚と、事業者の労働者への啓発・協力が望まれます。
         (第2710地区・広島県・広島RCで)

 
ロータリーの友 2011年6月号より  
       
           

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